2019年11月28日 本のこと
「きのう、きょう、あした。」
作家の重松清さんが「ときをためるドキュメンタリー」と呼んだ映画「人生フルーツ」で独自の世界観を見せてくれたつばた英子さんと修一さん。人生フルーツの撮影期間中に修一さんが亡くなり、その後の英子さんのお一人での生活と英子さんのまっすぐで柔らかな言葉がつづられています。
季節ごとのキッチンガーデンの様子と英子さんの料理が写真と共に紹介されていて、読んでいて気持ちがほんわかします。料理はレシピも載せてくれているので、自分でも作ることができ嬉しいですね。
そして、ところどころに散りばめられた英子さんの言葉に、心が響きます。
「人はそれぞれ、いいところと悪いところを持っている。悪いところをつつくばかりじゃなくて、いいところを見ないとね。」
「どんどん壊すばかりじゃなく、自然とともに生きればいいのにね。」
特に英子さんの強さと柔らかさが現れているのが、次の言葉です。
「大変なことなんて、私の人生にはなかった。」
シンプルに自分に正直に生きる、ということは今の日本では簡単ではないかもしれません。でも、本当に素敵なことだと思います。
本には描かれていませんが、修一さんはある日お昼寝したまま穏やかに亡くなられました。後に伏原監督がインタビューで、「とても美しいお顔で、よい生き方をすると、こんな風に亡くなることができるんだと思った。」という主旨のことをおっしゃっていたのを思い出しました。
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